こどもの病気

マイコプラズマ肺炎アーカイブ

 肺炎マイコプラズマは細胞壁をもたない1~2μmの細菌である。
飛沫に乗って喉頭蓋より下に分布する繊毛上皮に達すると滑走運動で2分以内にかけ下り、接着器官と呼ばれる部分で接着することで感染が成立し増殖を開始する。しかし、あくまでも表在感染であり細胞を次々に破壊する、あるいは組織内部に侵入する能力はない。

 マイコプラズマ自体は感染細胞内に活性酵素を過剰に産生させ粘膜上皮を軽く損傷することの他にはヒトに対して直接的な細胞障害性をもたない。

 潜伏期間は2-3週で発熱、咳嗽、咽頭痛、頭痛、倦怠感などで発症し、咳嗽は次第にひどくなり3-4週間持続し次第に回復する。

当院での経験
 発熱、咳嗽などで当院受診し、マイコプラズマ感染を疑い抗体価を測定した167例のうちPA反応(微粒子凝集反応)が320倍以上の21例につき検討した。
性別、年齢、マイコプラズマ抗体価、検査所見(WBC、CRP、レントゲン所見)、症状(発熱期間)、治療法を検討した。

結果
マイコプラズマ抗体価(図1)
 40倍未満が最も多く、320倍状の症例はわずか21例であった。
採血時期が早く抗体上昇前に測定した症例多く、ほとんどの例でペア血清はとれなかった。開業小児科での限界とも思われた。

対象症例の年齢(図2)
 血清検査した全体の年齢は7.3歳でマイコプラズマ抗体が上昇していた症例の年齢は6.9歳で差はなかった。

発熱期間(図3)
 発熱期間は7.7日であった。

まとめ(図4)
 入院した症例はあったが、抗体上昇以前に紹介した症例であった。
レントゲン写真(図5-9)

診断(マイコプラズマ抗原キットの比較)
 マイコプラズマ感染症の診断には分離培養法、PCR法、LAMP法などの直接証明法とPA法、補体結合反応(CF)、ELISA法、イムノカード法などの血清診断法などがある。一般的にはPA法がよく用いられるが、単血清では確定できない。
 比較的簡単なLAMP法による診断も保険適応となっているが、最近院内で簡単に施行できるマイコプラズマ抗原キットが使用できるようになった(図10)